2分でわかる「競争回避の戦略」

5つの競争要因の1つとして新規参入企業の脅威がある。
新規参入企業の驚異の大きさは、現在の参入障壁の程度や既存の競争業者からの反発の程度によって変わる。
競争回避の戦略とは業界の既存企業が利益の減少などを防ぐために、新たにその業界へ参入しようとする企業に対して参入障壁を築くこと、あるいは業界内の他社が自社と類似した戦略を採用・実施することで回避するための移動障壁を築くことである。
ポーターの戦略論の考え方では「自社の有利な位置取りと、その防衛」に焦点を当てているため競争回避の戦略という

参入障壁

規模の経済性

規模の経済性とは企業の規模や生産量が増大するに従い平均費用(製品1個あたりの生産コスト)が逓増していく現象をいう。
また、同じことをコスト面からではなく、生産面から表現すると生産要素(原材料、資本、労働力など)の投入量が増えるに従い、その増加分以上に産出量が増えていくということになり、これを収穫逓増という。
つまり産出量を倍にするために、全ての生産要素を倍にする必要がない場合、規模の経済性が働いていることになる。
規模の経済性が働く業界では新規参入企業はコストダウンを図る必要があるため、参入初期段階から大量生産を実施せねばならずこれが大きなリスクとなる。
※経験曲線効果が「累積生産量が増大するに従い、コストが減少していくこと」であったのに対し、規模の経済性は「生産規模の拡大により単位あたりのコストが下がること」である。
前者は「動的」なものであり、後者は「静的」なものである。

製品差別化

既存企業のプロモーション活動により、その企業のブランドや製品が顧客に確固たるブランドロイヤリティを形成させている場合、新規参入業者は顧客を獲得するために大きな広告宣伝等を行う必要があり、これが参入障壁となる。
また、製品の機能や品質、アフターサービス、デザインといった他の差別化要因も参入障壁となりうる。

巨額の投資

参入の際に研究開発、設備投資などのリスクの高い巨額の投資が必要な場合に、これが参入障壁となる。

流通チャネル

既存企業によって、流通チャネルの確固たる統制が行われており、新規参入業者が参入に際して多大なコストを要したり、新たなチャネルを設けたりする必要がある場合には、これが参入障壁となる。

独占的な製品技術

既存企業の持つ製品技術が特許などによって独占状態にある場合には、規模とは無関係にコスト面で不利となり、参入障壁となる。

経験曲線

コストダウンのために累積生産量を確保しなければならない場合には、規模の経済と同様に新規参入業者には不利となり、参入障壁となる。

政府の政策

政府がある業界に対して許認可制度などによる参入の制限を実施している場合には、これが参入障壁となる。

戦略グループと移動障壁

戦略グループ

戦略グループとは、同一あるいは類似した戦略を採択している企業の集合である。
例えば、キーテクノロジーを自社で開発し、高価格戦略を採用しているグループ、キーテクノロジーを自社で開発し低価格戦略を採用しているグループ、キーテクノロジーを外部から導入し、低価格戦略を採用しているグループといった具合に、概ね似たような戦略をとるいくつかのグループに分類されることである。
つまり業界内において各企業が採用する戦略は、何から何まで完全に異なるというわけではなく、似たような戦略をとる企業が他にも存在するということである。

移動障壁

移動障壁とは、企業が戦略上のあるグループから別のグループへ移動するのを困難にする要因のことである。
具体的には
①他のグループに移動しようとしても、その移動先の障壁が高くて参入が困難である。
②現在、所属しているグループにおける戦略に慣れてしまっていたり、大きな投資をしていたりするなど、そのグループに止まらざるを得ない力学や経済的な理由が存在するといったことなどが挙げられる。
なお①の状況が生じる要因は、参入障壁の要因とほぼ同じと考えてよい。

※ポーターによれば該当企業が
①好ましい業界に所属しており、かつ
②その業界の中の好ましい戦略グループに属していて
③そのグループ内で強力な地位を占めている場合に、最も高い収益性が実現される(競争回避)。